クルマづくりの原点へ。 三菱アウトランダー デビュー

三菱アウトランダー デビュー

2003年のグランディス以来実に29ヶ月ぶりのニューモデルとなる「アウトランダー」。久々の新型車、そして三菱再建の端緒となる重要なモデルだけに、前身のエアトレックとは全くの別物。「まじめ」なライトSUVに生まれ変わりました。
29ヶ月ぶり、ってことでプラットフォームにエンジンにCVTにサスペンションまで、主要なメカニズムは全て新開発。3段階に切り替えられる電制4WDやASC*1など4WDとしての基本性能はもちろん、ランエボの技術を活かしたアルミルーフやモノチューブ式ショックアブソーバー (リア) などの採用で、オンロードでも高い走行性能を持つ、んだとか。
ユーティリティ性も高く、セカンドシートはスイッチで一発折り畳みのワンタッチタンブル機構。上下分割開閉のテールゲートはディスカバリーみたいなガラスハッチに毛が生えたようなのかと思ってたら、8:2くらいの変則分割。アッパーゲートがフツーのテールゲートくらいのサイズあるので普段は上だけで全く問題なく、重い荷物積む時にはバンパー部分がロアゲートとして開くので開口部が完全にフラットになりますよと。更にロアゲートはベンチ代わりにもなる (最大静荷重200kg) 便利設計。そして注目は3列目シート。あくまでエマージェンシーだけど、スパシオよりはちゃんとしたシートっぽい。もちろん使わないときは床下に綺麗に収まります。
3列シートを成立させるためにボディは大幅拡大、4,640x1,800x1,680mmというサイズはエアトレック ('01年モデル) から230x50x130mm大きく、クルーガー (4,690x1,825x1,685) 並。ライバルになるエクストレイル (4,455x1,765x1,675)、RAV4 (4,155x1,735x1,690)、CR-V (4,420x1,785x1,710) に比べてかなり立派なサイズだけど、各車今年〜来年にかけてのモデルチェンジで大型化するらしいので問題なし、か。
グレード構成はシンプルにベーシックのMと上級グレードのGの2種類。メカニズムはどちらも同じ2.4リッターMIVEC+6速スポーツモード付きCVTの組み合わせで、それぞれ5人乗りと7人乗り仕様 (+¥21,000) が選べる。¥2,352,000のMでもプライバシーガラスやオートエアコン、イモビ、セキュリティーアラームなどは標準。¥2,646,000のGになると、ディスチャージヘッドライトやフロントフォグ、革巻ステアリングに革巻シフトノブ、パドルシフト、18インチアルミ、6連奏CDチェンジャーなどが付く。エクストレイルのS (¥2,121,000)、RAV4 X (2,173,500) と比べると排気量で勝り、排気量が同じCR-V iL (¥2,247,000) には装備で勝り、逆に上のクラスになるクルーガー 2.4S FOUR Xパッケージ (¥2,667,000:5人乗) よりは安い、と。
半年も前から公開されてたので見た目に全く新鮮さがないのは淋しいけど、シャープでクリーンな造形は気持ちいいくらいに爽やか。シンプルなカーブが上質な面とシャープなディテールで、スポーティさと力強さを素直に表現した「これぞSUV」なスタイリングに。派手さもなければ殊更に個性を主張するでもないシンプルさ、物足りないっちゃ物足りないけど下手な主張されるよりはいいやね。ライバルがクロカン風にゴテゴテしたデザインばかりだから、これだけスタイリッシュなのは十分個性?スマートな顔付きは今後の三菱車の共通イメージになりそう。'07年に出るPSA向けのOEM車をどんなデザインに仕立てるのかが気になるところ。
インテリアもまた、派手さはないけどスポーティで力強いデザイン。整然と纏められた操作系や適度な張りのある曲面が高い質感を感じさせる。
もう後のない三菱だけに、多分品質の方も心配ないはず。MMDS*2やISQC*3といったマネジメントシステムがどれだけ機能してるか、お手並み拝見?気になるのはこの手のSUVのパイが一時期に比べてかなり小さくなってる事。そして11月のRAV4に続き、来年夏にCR-V、秋にはエクストレイルが新型にスイッチするので、来年以降更に熾烈な争いが繰り広げられそう。もちろん本格攻勢は1月に出る新型軽「i」や来秋の新型eKワゴンパジェロが担うから、アウトランダーはそこまで売れなくても大丈夫なんだろうけど。
そうそう、あわせてmitsubishi-motors.co.jpもリニューアル。コルトやグランディスの頃は新車が出る度にサーバーが重くなってたけど、さすがに強化されたかそんな事もなく。・・・大して注目されてないだけですか?それより問題はサイトの完成度。アウトランダーのページで「期間限定プレミアム特典」クリックしたらトップページに飛んだ。コルトのページはコルトプラスのファイルをそのまま転用したらしく、何とタイトル画像以外の内容はコルトプラスのまま (全て17日夜。現在は修正済み)。JavaScriptのポップアップメニューも無駄に余白が多いみたいに見えて微妙だし。大丈夫かなぁ三菱。唯一いいと思ったのはカタログがPDFで閲覧できるところ。手軽にサイトの内容を補完できるし、カタログ取り寄せる手間もかからないし、是非他のメーカーにも真似して頂きたい。

*1:Active Stability Control system: 挙動制御システム

*2:Mitsubishi Motors Development System

*3:In Stage Quality Creation