日産 Pivo

日産 Pivo

今回最多のワールドプレミア8台を出す日産は、とりあえず1台のコンセプトカーを先行発表。「旋回する、回転する」という意味の英単語“pivot”から「Pivo」と名付けられたこの妙なカタチのクルマ、その名の通り薄くて平らなボディに乗った卵形のキャビンが前後にぐるっと回転するのが最大の特徴。つまりバックする必要のない、常に前進、何が何でも前進!という非常に男らしい・・・じゃない、未来的なコンセプトカー。
んでこれを実現した日産言うところの「X by Wire」というのは最近ショーモデルで流行りのフライ・バイ・ワイヤ技術。ステアリングやスロットルみたいな機械やら油圧やらで制御してた部分を電子制御、という技術自体は電制スロットルとかでとっくに実用化されてて目新しくも何ともないけど、電気信号が送れりゃメカニカルなパーツが必要なし、という所を突き詰めればキャビン回転なんて芸も出来るようになるワケだ。
都市で生活する若い女性の「こんなクルマがあったらいいな」という要望を具現化した、というだけあって、他にも街中での運転に嬉しい提案がたくさん。
「シースルーピラー」はAピラー外側にCCDカメラ、室内側に液晶モニタを埋め込み、ピラーの向こう側をそのまま映すことで、太いAピラーによる死角を減らす試み。それならピラー細くした方が全然マトモじゃねぇのか。ボルボみたいにピラーに窓付けるとか。「アラウンドビューモニター」はボディ前後左右に取り付けられた4つのカメラの映像を基に、自車を真上から見下ろす360度映像を生成する、というバックビューモニターの発展形。
足回りには懐かしの4WSを採用。通常走行では同位相と逆位相を制御し安定性を向上、低速では逆位相に大きく振ることで旋回性を高めてすいすいくるくるミゼットII
ボディとキャビンの分離したデザインは全くもってクルマらしからぬカタチ。ライトやアンテナのディテールはいかにもマンガ的で、村上隆とのタイアップで作らせた「Pivoちゃん」なるオリジナルキャラクターが妙にぴったり。トヨタの「pod」みたくコミュニケーションできても面白いかも。ホワイトとグレーのカラーはエスカルゴとかっぽくて素敵。
インテリアも負けず劣らず個性的。中央にコクピットがあってモニターとガラスに囲まれてて、そのまま宇宙飛べちゃいそうな感じ?ナビやオーディオの操作には「IRコマンダー」。無駄にカッコいい名前はともかく、赤外線が指の本数とか動きを感知して操作・・・ってどんな感じなのかよく分からん。ウィンカーやワイパーのレバーが普通なのはご愛敬。座席配置はマクラーレンF1と同じ、運転席がちょっと前に出た変形横3列。この配列って二人で乗るときどっち乗ったらいいか悩みそうじゃないですか?あと巻き込み確認のとき同乗者の顔ばっか見えちゃいそうだし?ところで左右足下の赤い板みたいのは何かしら。
写真では何とも掴みづらいボディサイズは2,700x1,600x1,660mm。マーチ (3,725x1,660x1,525)、モコ (3,395x1,475x1,590) と比べてもかなり独特なサイズ。横3列って事もあって、シティコミューター的なツイン (2,735x1,475x1,450)、スマート・フォーツー (2,540x1,515x1,550)、ハイパーミニ (2,665x1,475x1,550) よりちょっと大きめ。
銀座でイベントやってみたり村上隆にキャラクター作らせてみたり、市販予定もない割には妙に気合いの入ったコンセプトカーではある。うーん、やっぱりモーターショーのメインにはこんなんじゃなくってGT-Rとかもっとそういうのが欲しいなぁ。