「国民車」38年の歴史に幕 イラン、経済・環境の重荷に

「国民車」38年の歴史に幕

イランの国民車「ペイカン」が生産終了・・・ったってそんなクルマ知りゃしません。1966年にデビューしたイギリスのヒルマン・ハンターを、国営のイラン・ホドロ (Iran Khodro)サイパ (SAIPA) がここまで作り続けてきたんだとか。
ホドロはオリジナルのミドルセダン「サマンド」はじめ、プジョー206と405のライセンス生産、405ベースの上級車Pars (写真) 、更にMBや韓国現代の大型車もライセンス生産してるイラン最大の自動車メーカー。サイパの方はシトロエンエグザンティアと韓国起亜の「プライド」*1ライセンス生産がメインみたい。んでその中で一番安いのがこの「ペイカン」。38年作られただけあって見た目にもうイギリス車の面影はなく、東欧車かロシアの古いラーダみたいな雰囲気。あっちはフィアットだっけ?そしてイラン・ホドロのサイトのペイカンの顔はB11サニーか430セドリックにも見える。
ボディサイズは4,345x1,613x1,419mmで、ティーダラティオ (4,395x1,695x1,535) より一回り小さく、B15サニー (4,345x1,695x1,415) に近い。で車両重量はサニー比 -約200kgの990kg (1.6リッター車) ってんだから、いかに中身が空っぽかってなハナシ。因んで現行マーチの1.4リッターが970kg、こないだ出た新型ヴィッツが一番軽い1.3リッターでも1,010kg。もちろん装備の方も推して知るべし、安全装備の欄には堂々「ブレーキ」「ブレーキ警告灯」「チャイルドロック」「リアビューミラー」だけ。品質だって

「日本では毎年違うモデルの車が出るってのは本当か?」
「毎年ってことはないけど、何年に一度かはモデルチェンジをするし、一つの会社がいくつものモデルを作っているから、そういう意味では毎年違うモデルを作っているかも」
「何てすごいんだ!!!でもそんなことをして、何のトラブルもないのか?ペイカン、知っているだろう?イランの国産車の」(このタクシーは韓国車)
「知ってるよ。たくさん走ってるじゃん」
「あれなんか、同じモデルをもう20年以上も作っているくせに、まだ完全なものが作れないんだぞ」

すげー。アメリカンジョークみたい。(「イランという国で」には他にも現地から見た車事情が色々あるので是非)
ちなみにペイカンの後継になるというL90はこんなクルマ。ベースはルノーの「世界戦略車」Logan。去年からルノーグループのDacia (ルーマニア) で販売されてるんだけど、今後はインドやロシアでも作るらしい。旧き良き英国車の灯が消える、と思えばちと残念だけど、新型はルノーとの合弁生産だから品質も十分だろうし、現地でも人気になるんじゃないでしょか。40年分一気に進化するんだもんなぁ。イラン人もビックリ!・・・ゴメンなさいゴメンなさい。

*1:フォード・フェスティバ (初代) のライセンス生産車。5ドアやセダンなどのバリエーションがあった。