三菱 Concept-D:5

今回の三菱のコンセプトカーは全て市販前提。この「Concept-D:5」も'07年初頭にFMCを予定している次期デリカスペースギアのデザインスタディランエボプレビューのConcept-Xと同じく、デザイン的にはコレに近いイメージで市販したいとか。考えてみれば現行デリカも'94年5月の登場から既に11年が経ってて、初代エスティマの10年を超えるミニバンとしては異例の長寿モデル。一時はモデル廃止も囁かれたけど、ダイクラから離れて再び復活の狼煙を上げる事になりました。
「超高機動」をキーワードに作り上げられたフォルムは、一言で表すなら「ハコ」。最近の三菱車らしく過剰な装飾を廃したクリーンなデザインで、高い機能性と力強さを感じさせる。シンプルなのにホンダのThat'sみたいな冷蔵庫デザインにならず、あくまでクルマらしいのも流石。「ガンダム」と評されることの多かった三菱車だけど、このD:5に関して言えば東映メタルヒーロー風味。「ギャバン顔」とでも呼ばせて頂きたい。でんこーせーっかギャバンギャバンギャバン
妙に腰高に感じられるのは、アプローチアングルを可能な限り大きく取るため斜めに切られた前後バンパーと、最低地上高と室内高を現行以上のレベルに確保しながら全高を90mm下げたという低床パッケージングによるもの。この個性的なスタイル、1box時代のデリカを彷彿とさせてくれるのも嬉しい。屋根には流行りの「ワイドクリスタルライトルーフ」、これまた1boxらしくて嬉しい装備。これでハイルーフだったりすると完璧なんだけど(笑
このルーフ全体を覆う大きなガラスルーフを実現したのが「リブボーン・フレーム」。ボディにビニールハウスの骨組みのような環状構造の太いフレームを通してねじり剛性を高める、と同時に視覚的にも堅牢さを演出するとか。
市販時にはここまでコンセプチュアルにはならず、例えば車高は常識的なレベルに下がるだろうしホイールも20インチは無理だろうし、あと「リブボーン・フレーム」も採用されるかは?ただシンプルな1boxフォルムというコンセプトはそのまま。
内装は革と金属を組み合わせたクルマらしからぬワイルドな印象の質感、バング&オルフセンのオーディオみたいなシンプルなセンターパネル、独立6座のシートなど、なかなか面白い仕上がり。ただまぁ市販車とは全然別物だろうけど。
全長4,735x全幅1,815x全高1,875mmというサイズは、現行スペースギア (4,685x1,695x1,965) より50mm長く120mm広く90mm低く、ちょうどセレナ (4,690x1,695x1,840) とエルグランド (4,835x1,795x1,920) の中間くらい。市販化の際にどの辺のサイズを狙ってくるかは不明なれど、プラットフォームはアウトランダーや次期ランサーと共通だとすれば3ナンバーサイズは間違いなし。全幅が1.8m超えってのは無さそうだけど・・・ホイールベースは2,850mmと、全長と同じく現行比+50mm。
その他のメカニズムもアウトランダーと同等。最新の電制4WDを搭載、パワートレーンは新開発の2.4リッターMIVECにINVECS-III 6速スポーツモード付きCVTの組み合わせ、サスペンションも前マクファーソンストラット後マルチリンク、と。
安全でミソがついた三菱だけに、このコンセプトカーでは最新のASV*1技術もポイント。ボディに取り付けられた10個のセンサーで、車両周辺の歩行者や障害物を検知、ドライバーに注意を促す「車両周辺監視システム」。路面の白線を検知し、車線を外れそうになると電動パワステを制御するLKA*2や、ノーズに付けられたミリ波レーダーで前車との車間距離を検出、エンジンとCVTを制御して常に適正な車間を保つACC*3などを装備。もちろんこういうのはコンセプトカーだけの絵空事じゃ駄目ですから。是非市販車でも標準装備するくらいの意気込みで頑張って頂きたい所存。

*1:Advanced Safety Vehicle=先進安全自動車

*2:Lane Keep Assist=車線逸脱防止支援装置

*3:Adaptive Cruise Control=車間距離自動制御システム